AI導入支援会社とは何をする会社か

AI導入支援会社は、「AIをどこに効かせるか」を決めるところから、ツールの選定、実装、そして社内で使われ続ける状態を作るところまでを、外部から支援する事業者の総称です。

ただ、この言葉が指す範囲は会社ごとにかなり違います。研修を提供する会社も、クラウド基盤を構築する会社も、自社のAIプロダクトを売る会社も、同じ「AI導入支援」という看板で並んでいます。発注側から見ると、比較表に並んだ社名だけでは違いが読み取りにくいところです。

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依頼できる範囲

一般的な依頼範囲は、現状分析、AI活用の設計(どの業務から着手するかの選定)、ツール選定と環境構築、PoC(本格導入前の小規模な検証)、本番実装、社内ガイドラインの整備、そして利用定着の支援までです。

すべてを一社に任せる契約もあれば、設計だけを外部に頼み、実装は社内やほかのベンダーで進める分割発注もあります。どこまでを今回の契約に含めるかを先に決めておくと、金額も比べやすくなります。

「AI研修」「AIコンサル」「ツール導入」の違い

主な目的対象成果として残るもの
AI研修使える人を増やす個人のスキル社内の使い手
AI導入コンサルどこに効かせるかを設計する業務プロセス設計と実装
ツール導入特定業務にAIを組み込む特定の業務フロー動いている仕組み
内製推進社内で広げる力を残す組織の運用推進体制とルール

この4つは排他的ではなく、多くの会社が複数を提供しています。ただどこに軸足があるかは会社ごとに違い、そこが提案内容の差になって表れます。選び方の詳細はAI導入コンサルの選び方【2026年版】3タイプと見極め質問でも整理しています。

費用のこと:14社のうち12社は料金を公開していませんでした

比較記事を読む前に、ひとつ知っておくと見え方が変わることがあります。この市場では、発注先の候補になる会社の多くが料金を公開していません

調査方法

2026年8月26日時点で、「AI導入支援 会社」「生成AI 導入支援 サービス」「AI導入支援 企業」の検索結果に自社サイトが表示される事業者と、複数の比較記事で名前が挙がる事業者から14社を選び、各社の公式サイトを機械的に取得しました。トップページに加え、URLに料金・price・fee・plan を含むページを最大3件まで辿り、金額表記の有無を確認しています。

料金を公開していた2社

会社名公開されていた金額対象サービス
株式会社BoostX月額11万円〜生成AI伴走顧問
クラスメソッド株式会社50万円〜AI駆動インフラ開発の組織導入パッケージ

残る12社は、サイト上に料金ページを持たないか、持っていても金額の記載がありませんでした。

さらに踏み込むと、BoostXは伴走顧問の月額を公開している一方で、コンサルティングについては自社サイトに「料金はヒアリング後に個別見積(決まった料金表はありません)」と明記しています。金額を隠しているというより、範囲が案件ごとに変わるため定価を作りにくい、という事情がありそうです。

それでも目安が必要なときの価格帯

見積もりを取る前に桁を把握しておきたい場合の目安です。2026年7月時点で当方が市場を確認した範囲の数値で、支援の型ごとに整理しています。

支援の型費用の目安前提
AI研修型リテラシー研修 15〜40万円/回、実務実装ワークショップ 30〜60万円/部門受講者の稼働工数も総コストに含めて考える
AI導入コンサル型月30〜150万円継続6〜12ヶ月が目安
ハイブリッド型(研修+定着支援)月20〜50万円研修だけより成果が残り、コンサルだけより安い中間帯
ツール導入型月数千〜数万円/ユーザー + 初期設定費小さく早く始められる
内製推進型月数千〜数万円/ツール + 社内推進の工数外注せず社内に力を残す方向

この幅の広さ自体が、「相場」だけでは決めきれないことを表しています。

会社を選ぶ前に「型」を決める

料金で絞りにくいぶん、先に決めておきたいのは会社ではなく自社が必要としている支援の型のほうです。型が決まると、候補は自然に3〜4社くらいまで減っていきます。

AI研修型 ── まず「使える人」を増やす

社内にAIを日常的に使っている人がほとんどいない段階です。ツールを入れても使われにくいのは、ツールというより使い手がまだ少ないことが理由になりがちです。体系的な研修で土台を作るところから始めます。

確認しておきたいこと:研修後の定着まで支援があるか、自社の実業務に近い演習を組み込めるか、講師が現場の実務経験を持つか、3ヶ月後の利用率をどう測るかを事前に決めているか。

AI導入コンサル型 ── 戦略から実装まで伴走

活用したい方向は見えているが、どの業務から手をつけるかの設計ができていない段階です。業務再設計を伴う規模の変革に向きます。

確認しておきたいこと:「どこにAIを効かせるか」の設計から入るか、PoCで終わらせず本番実装まで契約に含むか、社内への技術移転を設計に織り込めるか、同規模・同業種での実績を具体的に語れるか。

ハイブリッド型 ── 研修で入れて、定着まで伴走

研修だけでは「やって終わり」になり、コンサルを入れるほどの規模でもない、という中間の状況に当たります。実務上いちばん多い型でもあります。

確認しておきたいこと:研修とその後の利用率フォローがセットか、現場の詰まりを都度ほどく窓口があるか、推進担当を社内に育てる設計か、短期契約でまず数ヶ月試せるか。

ツール導入型 ── まず入れて現場で自走

すでに使える人が一定数おり、業務も特定できている段階です。小さく早く始められる一方、定着支援が薄いと使われず放置されやすい型でもあります。

確認しておきたいこと:ツール配布だけで終えずガイドラインと使い方研修をセットにできるか、情報漏洩対策(データの扱い・ログ・権限)が明確か、導入後の利用状況を可視化できるか、1〜2ツールに絞って無料トライアルできるか。

すでに個人で使われている状態を会社の管理下に移す進め方は、無料の講座でも扱っています。

内製推進型 ── 外注せず社内に力を残す

推進できる人材が社内におり、外部に大きく発注するより自走したい段階です。外注費は抑えられますが、推進者の時間を確保できるかが分かれ目になります。

確認しておきたいこと:安全に広げる社内ガイドラインがあるか、推進者の役割と時間を確保できるか、うまい使い方を共有・蓄積する仕組みがあるか、小さな成功事例を横展開する流れを作れるか。

型が決まると比較軸は3つに減る

  1. 1型を決める
  2. 2支援範囲を同条件で書き出す
  3. 33社に同じ条件で見積もる
  4. 4契約範囲を文面で確認する

型が決まったあとに会社を比べる軸は、支援範囲・実装体制・契約条件の3つだけです。金額は、この3つが揃ってから見ると比べやすくなります。

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AI導入支援会社14社 一覧比較表

各社の公式サイトに公開されている情報のみを記載しています。区分は公開情報から見た軸足であり、いずれの会社もここに書いた範囲だけを提供しているわけではありません。

会社名軸足公開情報から見た特徴料金公開
株式会社アイデミー研修・人材育成人材育成から実装・組織変革まで一気通貫なし
株式会社キカガク研修・人材育成教育が軸。アセスメントの無料体験ありなし
株式会社AVILEN研修・実装約1000社の支援実績を掲示。自社SaaSも保有なし
株式会社BoostX伴走・定着生成AI伴走顧問。中小企業向け・全国オンライン月額11万円〜
SMS DataTech株式会社伴走・定着無料診断が入口。運用ルール整備まで伴走なし
株式会社クエリー実装社内ChatGPT構築、議事録自動作成に実績なし
パーソルクロステクノロジー株式会社実装・人材AI/BI/RPAを含むDX支援なし
クラスメソッド株式会社クラウド実装AWS支援5,600社。マルチクラウド対応50万円〜(一部)
KDDIアイレット株式会社クラウド実装クラウド導入2,500社超。運用までワンストップなし
TISI株式会社システム実装2026年7月にTISとインテックが合併して発足なし
株式会社LIG実装・制作開発・制作・マーケを横断したDX支援なし
株式会社FRONTEO自社プロダクト自社AIエンジン「KIBIT」を300社超に提供なし
株式会社グラファー自社プロダクト行政手続きの効率化と生成AIの業務活用なし
株式会社メンバーズ内製・人材提供専門人材を提供しPoCと内製化を推進なし

※ 2026年8月26日時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。料金・サービス内容は変更される場合があるため、最新の情報は各社にご確認ください。

研修・人材育成に軸がある会社

株式会社アイデミー

2014年創業。企業のAI/DX推進に向けて、人材育成から開発・実装、組織変革までを一気通貫で支援すると公表しています。研修から入って実装まで同じ相手に相談したい場合の候補になります。

法人向けを中心に展開しているため、個人受講の延長ではなく組織単位の導入を前提に検討できます。料金はサイト上に記載がなく、問い合わせが必要です。

株式会社キカガク

「あるべき教育で人の力を解放する」を掲げ、教育を軸に法人・個人の両方へサービスを展開しています。アセスメントの無料体験が用意されており、発注前に社内のスキル水準を測る材料が得られる点は、研修の型を決めきれていない段階で使えます。

研修に軸足があるため、業務再設計まで踏み込む必要がある場合は、コンサル型との併用を前提に検討することになります。

株式会社AVILEN

トップページに「約1000社の支援実績」を掲示し、AI技術実装サービス、デジタル組織開発サービス、D&A戦略コンサルティングサービスの3本立てで提供しています。研修と実装のどちらにも軸足がある構成です。

生成AIエージェントの自社SaaSも提供しており、人材育成から実装、プロダクト導入までを同じ相手で完結させたい場合に候補になります。

戦略から実装まで伴走する会社

株式会社BoostX

今回調べた14社のうち、月額料金をサイト上で公開していた唯一の会社です。生成AI伴走顧問を月額11万円からとし、チャット相談は無制限、定期MTGで進行を管理すると明記しています。福岡発で全国オンライン対応。

同社はコンサルティングについては「料金はヒアリング後に個別見積(決まった料金表はありません)」と明示しており、どこまでが定価で語れてどこからが個別かを分けて開示しています。金額の透明性を重視するなら、この開示の仕方自体が比較材料になります。

中小企業向けを明確に打ち出しているため、大規模なシステム連携を伴う案件では体制を確認しておくとよさそうです。

SMS DataTech株式会社

無料診断で業務課題を可視化したうえで、活用方針の策定、セキュリティ対策、運用ルールの整備まで専門家が伴走する、と公表しています。入口が無料の課題可視化になっているため、何から着手すべきかが決まっていない段階から相談しやすい構成です。

工場DX・製造DXの領域にも自社サービスを持っており、製造業で現場側の改善も併せて検討する場合に候補になります。

株式会社クエリー

OpenAIの技術を用いたセキュリティ確保済みの社内向けChatGPT構築と、音声認識Whisperによる議事録自動作成の実装を公表しています。やることが具体的に特定されているため、用途が既に決まっている場合は話が早く進みます。

あわせてノーコード・ローコード開発やRPAを使った現場主導のDX支援も提供しており、AI以外の自動化と併せて検討できます。

パーソルクロステクノロジー株式会社

AI・BI・RPAを含むDX支援を提供し、RPA導入支援を明示しています。人材サービスを母体とするグループの一員で、専門スキルを持つ人材を揃えている点を打ち出しています。

生成AI単体というより、既存業務の自動化を含めた広い意味でのDXとして進めたい場合の候補です。

クラウド・システム実装に強い会社

クラスメソッド株式会社

AWSに加えてGoogle・Microsoftのマルチ環境に対応し、Amazon BedrockやAzure OpenAI Serviceなどモデルを問わず支援すると公表しています。2022年にAWSのグローバル最優秀SIパートナー賞を受賞。

AI駆動インフラ開発の組織導入について、ガイドライン・テンプレート・CI/CD整備までをパッケージ化し50万円からと金額を公開しています。AWS支援5,600社の実績を掲示しており、既にクラウド上に基盤がある企業の実装フェーズで候補になります。

KDDIアイレット株式会社

「AIの社会実装を加速するAIインテグレーター」を掲げ、クラウド・マルチクラウドの導入実績2,500社超を掲示しています。システム・アプリケーション開発、UI/UXデザイン、インフラの構築・運用までをワンストップで提供。

自社のAIポリシーを公開している点は、社内ガイドラインを整備する際の参考にもなります。

TISI株式会社

2026年7月にTIS株式会社と株式会社インテックが合併して発足した会社です。社名が変わっているため、古い比較記事では旧社名で掲載されている場合があります。大規模なシステム連携や基幹システムとの接続を伴う案件で候補になります。

株式会社LIG

システム開発・Web制作・マーケティング支援を軸に、グローバルリソースを活用したDX支援を提供しています。AI単体より、顧客接点やコンテンツ側の業務と併せて設計したい場合に向きます。

自社プロダクトを持つ会社

株式会社FRONTEO

自社開発のAIエンジン「KIBIT」を用い、テキストデータから情報を抽出して業務効率化や経営判断を支援します。300社超への提供実績を掲示し、金融・製造・建設・知財・官公庁など幅広い分野でモニタリングやスクリーニングに使われています。

汎用の生成AI導入ではなく、特定業務に特化したAIを入れたい場合の候補です。

株式会社グラファー

行政手続きの効率化と、生成AIの業務活用を推進するサービスを、一般消費者・事業者・官公庁に提供しています。自治体や公共性の高い業務を扱う組織では、同種の導入実績を持つ相手として候補になります。

内製化・人材提供に軸がある会社

株式会社メンバーズ

DX・AI・機械学習の専門人材を提供することで、AI活用やリスキリング、PoCの推進を支援すると公表しています。生成AI(LLM×RAG)を活用したCX変革支援や、AI駆動開発の伴走支援もメニュー化されています。

外部に丸ごと発注するのではなく、人材を入れて社内と一緒に進めたい場合の候補です。内製化を目標に置くなら、技術移転の設計が提案に含まれるかを見ておくとよさそうです。

Fitsel AI の掲載企業

上記14社は公開情報から整理したもので、当方との取引関係はありません。以下の2社は、当方の審査を経て掲載している事業者です。掲載の方針と紹介料の扱いは運営者・編集方針で開示しています。

株式会社アイセル

人事・経理・総務の現場に入り込み、課題特定から運用、社内のAI人材の発掘までを一気通貫で支援する管理部門特化型のサービスを展開しています。AI研修型・AI導入コンサル型・ハイブリッド型・内製推進型のいずれにも対応。

モノデジタル株式会社

和歌山を拠点に、中小企業のDX推進を伴走支援しています。リスキリングを軸に、現状業務のヒアリングからDX業務フローの構築、社内のDX変革者の育成までを継続的に支援。AI導入コンサル型に対応しています。

各社の詳細と資料請求は掲載企業一覧から確認できます。

契約前に確認する5つのこと

発注前チェック
  • 今回の契約に本番実装と定着支援が含まれるか、契約書の文面で確認したか
  • PoCの成功をどの数値で判定するかを事前に決めたか
  • 社内への技術移転(内製化)が提案に明記されているか
  • 同規模・同業種での実績を具体的に語れるか
  • 3社に同じ前提条件で見積もりを依頼したか

とくに1つ目と2つ目は、後から認識の食い違いが起きやすいところです。「支援します」という言葉は、設計だけを指すこともあれば、本番稼働まで見てもらえることもあります。契約書の文面で確認しておくと安心です。

3つ目は、内製化を目標に置く場合に効いてきます。技術移転の計画が提案に書かれていないと、終わったあとも同じ相手に頼り続けることになりやすいためです。

提案を見るときに気をつけたいところ

いずれも提案書や初回商談の時点で見えてくることが多いところです。金額の交渉より先にここを見ておくと、後戻りが少なくなります。

発注先に関係なく起きる「入れたのに使われない」の切り分け方は、講座でも扱っています。

動画で見る:Copilot定着(無料AI講座) →

補助金・助成金は使えるか

研修として実施する部分は、人材開発支援助成金の対象になりうる場合があります。システム導入を伴う場合は別の補助制度が使えることもあります。

ただし制度ごとに対象経費と申請時期が異なり、訓練開始前に計画届の提出が必要な制度もあります。発注先を決めてから制度を調べると、間に合わないことがあります。どの制度を前提にするかは、見積もりを取る段階で決めておけると安心です。

なお、厚生労働省は「助成金を活用して訓練を実質無料で受けさせられると謳い、本来受けることができない助成金・訓練の提案・勧誘を行う訓練機関やコンサルティング会社が存在している」と注意喚起しています。返金やキャッシュバック、協賛金を受け取ると経費助成は全額対象外となり、悪質な場合は事業主名の公表や刑事告訴の対象になります。「実質無料」を前面に出す提案があれば、根拠をその場で確かめておきたいところです。

まとめ

AI導入支援の市場は、2026年8月時点で主要14社のうち12社が料金を公開していません。そのため、費用相場を並べた比較表だけでは絞りきれないことが多くなります。

絞る順序は次のとおりです。

  1. 自社が必要としている支援の型を決める(研修/コンサル/ハイブリッド/ツール導入/内製推進)
  2. その型に軸足がある会社を3社に絞る
  3. 対象業務・人数・期間・成果の定義・本番実装の有無を同条件で伝えて見積もる
  4. 契約範囲を文面で確認する

金額の比較は、この4番目まで来てから見るとぶれにくくなります。逆に言えば、型が決まらないまま見積もりを集めても、手元で比べにくいままになりやすいということです。