支給要件確認申立書の記入例(共通要領 様式第1号)
支給要件確認申立書は、人材開発支援助成金の専用様式ではなく、雇用関係助成金に共通する共通要領 様式第1号です。表題の括弧内に助成金名を書いて使います。以下は令和7年4月1日版(R7.4.1)の欄構成と記入例です。様式そのものは厚生労働省の共通要領 様式第1号(PDF)で確認できます。
事業主記載事項(表面)の記入例
| 欄 | 何を書くか | 記入例 |
|---|---|---|
| 表題「支給要件確認申立書( 助成金)」の括弧内 | 申請する助成金の名称 | 人材開発支援 |
| 1 法人名 | 登記上の商号 | 株式会社サンプル製作所 |
| 1 法人番号 | 平成27年10月以降に国税庁長官から本社等へ通知された13桁の番号 | 1234567890123 |
| 2 事業所名称 | 助成金の支給に係る事業所の名称 | 株式会社サンプル製作所 本社 |
| 3 雇用保険適用事業所番号 | 雇用保険の適用事業所番号(適用事業所設置届の控えなどで確認) | 自社の番号を転記 |
| 4〜16 | 「はい」「いいえ」のどちらかを○で囲む | すべて該当するなら「はい」に○ |
| 「いいえ」がある場合の該当番号 | 「いいえ」を選んだ項目の番号 | すべて「はい」なら空欄 |
| 令和 年 月 日 | 提出日 | 令和8年◯月◯日 |
| 宛先 | 管轄の労働局長(安定所経由の場合は公共職業安定所長) | ◯◯労働局長 殿 |
| 事業主 住所・名称・氏名・電話番号 | 事業主の住所、法人名、代表者氏名、電話番号 | — |
| 代理人又は社会保険労務士 | 事業主が直接申請する場合は記入不要 | 空欄 |
| 労働局・安定所確認欄 | 記入しない(労働局・安定所が確認に使う欄) | 空欄 |
「4」から「16」に何が書かれているか
自己申告する確認事項は13項目(10は①〜⑤に分かれます)です。R7.4.1版の内容は次のとおりです。
| 番号 | 確認する内容 |
|---|---|
| 4 | 平成31年3月31日以前に申請した雇用関係助成金について、不正受給による不支給決定・支給決定の取り消しを受けたことがない、または受けたが当該決定日から3年を経過している |
| 5 | 平成31年4月1日以降に申請したものについて同様のことがない、または当該決定日から5年を経過している |
| 6 | 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について、不正受給に関与した役員等がいない |
| 7 | 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度における労働保険料の未納がない |
| 8 | 支給申請日の前日から起算して過去1年において、労働関係法令違反により送検されていない |
| 9 | 風俗営業等関係事業主でない |
| 10 ①〜⑤ | 事業主等・役員等が暴力団または暴力団員でない、暴力団を利用していない、資金等を供給していない、不当に利用していない、社会的に非難されるべき関係を有していない |
| 11 | 事業主等・役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行っていない、または行う恐れがある団体等に属していない |
| 12 | 倒産していない(破産手続開始・再生手続開始・更生手続開始・特別清算開始の申立て等がされていない) |
| 13 | 労働局長による確認・調査への協力、不正受給時の事業主名等の公表、返還請求への応諾を承諾する |
| 14 | 役員等の氏名、役職及び生年月日が記載されている別紙「役員等一覧」または同内容の記載がある書類を添付している |
| 15 | 「雇用関係助成金支給要領」に従うことに承諾する |
| 16 | 支給申請書等に事実と異なる記載または証明を行っていない |
このうち14が、本記事のテーマである役員等一覧との接点です。申立書そのものには役員の氏名を書く欄がなく、別紙で添付する構造になっています。
別紙「役員等一覧」の記入例
役員等一覧は独立した別紙で、上部に法人情報、下部に役員等の明細を書きます。列は4つだけです。
上部(法人情報):法人名/法人番号/事業所名称/雇用保険適用事業所番号
下部(明細):
| 役員等氏名(漢字) | 役員等氏名(カナ) | 役職 | 生年月日(西暦) |
|---|---|---|---|
| 山田 太郎 | ヤマダ タロウ | 代表取締役 | 1972年5月14日 |
| 佐藤 花子(旧姓 鈴木) | サトウ ハナコ | 取締役 | 1981年11月2日 |
| 田中 一郎 | タナカ イチロウ | 監査役 | 1965年3月30日 |
様式の注記から、記入時に押さえるべき点は4つです。
- 生年月日は西暦で書く(和暦ではありません)
- 就任年月日を書く欄はありません。列は氏名(漢字)・氏名(カナ)・役職・生年月日の4つだけです
- 個人事業主の場合は事業主本人について記載します(役職は除く)
- 就任中に氏名の変更等があった場合は、変更前の氏名(旧姓)も併記します。どちらか一方に統一するのではなく、併記が様式の指示です
なお「役員等」とは、事業主等が個人である場合はその者、法人である場合は役員、団体である場合は代表者・理事等をいい、役員名簿等に記載がある者を指します(様式 注2)。
人材開発支援助成金における支給要件確認申立書の位置づけ
人材開発支援助成金は、従業員向けの研修や訓練にかかった費用の一部を国が助成する制度です。申請の過程では複数の様式を提出する必要があり、支給要件確認申立書はそのうちの一つとして位置づけられます。計画届や支給申請書だけでは確認しきれない項目、例えば他の助成金との重複受給の有無や、訓練を実施する機関と自社との関係性などを、事業主自身が申告する書類がこの申立書です。
AI研修を助成金の対象にしようと検討している企業からは、「どの書類が、いつ、何を確認するために必要なのか整理できていない」という声をよく聞きます。支給要件確認申立書は単独で完結する書類ではなく、計画届に添付する役員等一覧など他の書類との整合性が前提になっている点をまず押さえておく必要があります。
対象となる助成金コースと様式の関係
人材開発支援助成金には複数のコースがあり、コースによって求められる様式や添付書類の範囲が異なります。支給要件確認申立書が必要になるかどうか、また記載すべき項目の広さも申請するコースによって変わるため、まず自社がどのコースで申請するのかを先に確定させることが実務上の出発点になります。
計画届・支給申請書との役割の違い
計画届は「これから実施する訓練の内容」を届け出るための書類で、支給申請書は「実施した訓練の実績」に基づいて助成金の支払いを求める書類です。支給要件確認申立書はこの両方の場面で求められることがあり、性質としては「実施した訓練の内容」ではなく「事業主自身が満たしているべき条件」を申告するものと理解しておくと整理しやすくなります。計画届の書き方全般については人材開発支援助成金の計画届の書き方――期限・書類・注意点でも詳しく解説しています。
支給要件確認申立書に記載する主な項目
申立書に記載する項目は大きく分けて、事業主や訓練に関する基本情報、支給要件に抵触していない旨の確認事項、そして役員等一覧との整合を前提にした関係性の申告の三つに整理できます。どの項目も単独の記載ミスであっても、他の書類との突合で不一致として扱われる可能性がある点に注意が必要です。
事業主・訓練の基本情報
申立書には、事業主の名称・所在地・代表者名といった基本情報に加えて、対象となる訓練の名称や実施時期など、計画届・支給申請書と共通する情報を記載する欄があります。これらの情報は他の様式と表記を完全に一致させる必要があり、略称や旧名称のまま記載すると、書類間の突合の際に不一致として扱われることがあります。
支給要件に抵触しない旨の確認事項
申立書の中心となるのは、労働局が定める支給要件に抵触していない旨を事業主が申告する部分です。具体的には、重複して助成金を受給していないか、労働保険料を滞納していないか、訓練を実施する機関と資本関係・親族関係がないかといった項目が含まれます。これらは自己申告ではあるものの、他の添付書類と突き合わせて確認されるため、事実と異なる記載は後から発覚しやすい構造になっています。
役員等一覧との整合が求められる理由
役員等一覧は、役員等の氏名(漢字・カナ)・役職・生年月日(西暦)を一覧化した別紙で、支給要件確認申立書の確認事項14として添付が求められます。目的は、訓練を実施する機関が自社の役員やその親族と実質的に同一の関係にないかを確認することにあります。もし研修会社の代表者が自社の役員の親族であるような場合、その関係性を隠さず記載したうえで、支給要件を満たすかどうかの判断を仰ぐ必要があります。
役員等一覧との整合確認で見落としやすい点
実務でつまずきやすいのは、役員等一覧そのものの記載精度です。役員の異動や兼務の状況は日常業務の中で更新が後回しになりやすく、申請の直前に確認して初めて不一致に気づくケースが少なくありません。
訓練実施機関との資本・親族関係
最も見落とされやすいのが、訓練を実施する研修会社やコンサルティング会社と、自社役員との間にある資本関係・親族関係です。特にグループ会社内で研修を内製化している場合や、役員の知人が経営する会社に研修を委託している場合は、関係性の有無を役員等一覧の記載内容と照らし合わせて確認しておく必要があります。
兼務役員・非常勤役員の扱い
非常勤役員や、他社の役員を兼務している人物がいる場合、役員等一覧への記載が漏れやすくなります。兼務先の会社が訓練実施機関と関係を持っている場合、その事実が見落とされたまま申立書を提出してしまうと、後の確認段階で整合性が取れず、追加の説明を求められる原因になります。
記載名義のゆらぎと登記情報
結婚や離婚による姓の変更、商号変更があった場合、書類ごとに異なる名義で記載してしまうことがあります。ここで注意したいのは、役員等一覧の様式は「統一」ではなく「併記」を求めている点です。注4に「役員等の就任中に氏名の変更等があった場合は、変更前の氏名(旧姓)も併記してください」とあるため、現在の氏名だけに書き換えると、かえって登記情報との突合ができなくなります。法人名・法人番号については、登記事項証明書と一致する現在の正式な表記に揃えてください。
- 費用を抑えられる
- コースへの理解が浅いと不備が出やすい
- 専門知識で不備を防ぎやすい
- 依頼費用が別途発生する
提出タイミングと申請スケジュールの関係
様式の「記載にあたっての留意点」1 には、「この様式は、必要事項を記載して支給申請にあわせて提出してください」と書かれています。つまり共通要領 様式第1号そのものは、支給申請の段階で出す書類です。ただしコースごとの手引きで別途求められることがあるため、自社が申請するコースの手引きを確認してください。
計画届提出時に必要になるケース
訓練を開始する前に提出する計画届の段階で、支給要件確認申立書の提出を求められるコースがあります。この場合、訓練内容が固まる前に役員等一覧との整合を済ませておく必要があるため、研修会社を選定する段階から資本・親族関係の有無を意識しておくと後戻りが少なくなります。
支給申請時に必要になるケース
訓練の実施後、実績に基づいて助成金を請求する支給申請の段階で改めて申立書の提出が求められる場合もあります。計画届の時点と支給申請の時点とで役員構成や委託先の状況が変わっていないかを再確認し、変更があれば最新の状況を反映させて記載し直す必要があります。
訓練期間中に役員構成が変わった場合
訓練期間が数か月にわたる場合、その間に役員の異動や退任が発生することがあります。計画届提出時の役員等一覧のまま支給申請時の申立書を作成してしまうと、実態と書類の内容がずれてしまうため、訓練期間中に役員構成が変わった場合は、支給申請前に一覧を更新してから申立書を作成する流れを徹底することが大切です。
よくある不備とその防ぎ方
申立書まわりの不備は、記載そのものの誤りと、他書類との不整合という二つの種類に分けて考えると対策が立てやすくなります。以下の三つは、実務で特に発生しやすい典型例です。
記載漏れ・○の付け忘れ
最も基本的な不備は、記載欄の記入漏れと、4から16までの「はい」「いいえ」に○を付け忘れることです。確認項目が13項目(10は①〜⑤)並ぶ様式のため、一つの欄を空欄のまま提出してしまうケースが起きます。提出前に、記載必須の欄だけを抜き出したチェックリストを作り、複数人で確認する体制にしておくと防ぎやすくなります。
なお、R7.4.1版の様式に押印欄はありません。旧様式の記憶で押印欄を探す必要はなく、代わりに○の付け忘れと別紙の添付漏れを確認してください。
役員等一覧と登記情報の不一致
役員等一覧に記載した内容が、登記事項証明書の内容と一致していないケースも典型的な不備です。役員の就任・退任のタイミングで登記の変更手続きが遅れている場合、申立書提出時点ではまだ登記に反映されていないことがあるため、登記情報を取得し直したうえで最新の状態を記載することが必要です。
訓練実施機関の選定理由が説明できない
支給要件を満たしているかどうかの確認の過程で、なぜその研修会社・コンサルティング会社を選んだのかを説明できるようにしておくことも実務上重要です。役員との関係性がないことを申立書上で申告していても、選定理由があいまいなままだと、追加の資料提出を求められる可能性があります。
- 役員等一覧を最新の登記情報と突合したか
- 訓練実施機関との資本・親族関係の有無を確認したか
- 計画届と支給申請の記載内容がずれていないか
- 4から16の「はい・いいえ」すべてに○を付けたか
- 別紙「役員等一覧」を添付したか
申立書の準備を社内の誰が担うべきか
申立書の作成を誰が担当するかは、申請するコースの複雑さと社内の助成金申請経験によって判断が分かれます。どちらを選ぶ場合でも、担当者と確認者を分けて複数人でチェックする体制を作っておくことが不備防止につながります。
社内(人事・総務)で完結させる場合
人事・総務の担当者が申立書の作成から提出まで一貫して担うケースは多く、コストを抑えられる一方で、申請するコースの要件を正確に理解していないと記載漏れや解釈違いが起きやすくなります。特に初めて助成金を申請する企業では、様式の読み込みに時間がかかる点を見込んでスケジュールを組む必要があります。
社会保険労務士に依頼する場合
社会保険労務士など外部の専門家に申立書の作成を依頼すると、要件の解釈や記載方法についての誤りを防ぎやすくなります。ただし依頼費用が別途発生するため、AI研修そのものの予算とあわせて総コストを見積もっておくことが望ましいといえます。実施結果の報告書についても、人材開発支援助成金の実施結果報告書――記入例と添付漏れ対策で書き方を確認しておくと、申請全体の流れを把握しやすくなります。
AI研修を助成金対象にする場合に併せて確認したいこと
書類の整合性を整えることと同じくらい重要なのが、研修の中身そのものが助成金の対象要件と自社の実務ニーズの両方に合っているかどうかです。どちらか一方だけを満たしていても、導入後に成果が出なければ本末転倒になってしまいます。
研修内容と対象コースの整合
AI研修を助成金の対象にする場合、研修内容が申請するコースの要件に沿っているかを事前に確認しておく必要があります。座学中心のリテラシー研修と、実務データを使った実装ワークショップとでは、対象になるかどうかの判断が分かれることがあるため、研修会社に確認する前に、自社が申請したいコースの要件を整理しておくことが前提になります。助成金活用の条件・実質負担額の考え方はAI研修に使える助成金【2026年版】条件・申請・実質負担額で整理しています。
研修会社・研修内容を選ぶときの視点
助成金の対象になるかどうかに加えて、研修そのものが自社の実務に合っているかどうかも重要な判断軸です。AI研修には、リテラシーの底上げを目的にした型から、実務に近い演習を組み込む型まで幅があり、費用の水準も異なります。
2026年時点の複数の公開ソースに基づく参考値として、代表的な型と費用の目安は次の通りです。
| 型 | 主な内容 | 費用の目安(2026年時点の参考値) |
|---|---|---|
| AI研修型(リテラシー底上げ) | 全社員向けの体系的なリテラシー研修 | 15〜40万円/回 |
| 実務実装ワークショップ | 自社の実データ・業務を使った演習 | 30〜60万円/部門 |
| ハイブリッド型(研修+定着支援) | 研修後の利用率フォローまで伴走 | 月20〜50万円 |
費用だけで選んでしまうと、助成金の対象要件を満たしていても自社の実務に合わない研修になってしまうことがあります。研修形式ごとの費用の内訳をさらに詳しく比較したい場合は、AI研修の費用相場【2026年版】形式×人数の早見表も参考になります。
申立書の整合ミスがAI研修導入の計画に与える影響
書類の不備は単なる事務作業のやり直しにとどまらず、研修そのものの開始時期や、社内の合意形成のスケジュールにも波及します。
計画届の差し戻しによるスケジュール遅延
役員等一覧との不一致など、支給要件確認申立書に関する不備が見つかると、計画届そのものが差し戻され、訓練の開始時期を後ろ倒しにせざるを得なくなることがあります。AI研修の導入は現場の業務スケジュールとも連動しているため、書類の不備による遅延は研修計画全体に影響を及ぼします。
研修ベンダー決定前に確認しておきたいこと
研修会社を決定する前に、その会社と自社役員との間に資本関係・親族関係がないかを確認しておくと、後になって申立書の記載内容を修正する手間を避けられます。特に紹介や知人づてで研修会社を選ぶ場合は、関係性の有無を意識的に確認しておくことが望ましいといえます。AI研修の導入を稟議として通す段階での注意点はAI導入の稟議書テンプレート――通る書き方と撤退条件でも取り上げています。
まとめ:整合性チェックを申請前のルーティンにする
支給要件確認申立書は、単独の書類として完結するものではなく、役員等一覧や登記事項証明書といった他の書類と整合していることが前提になっています。計画届の段階、支給申請の段階のそれぞれで求められるタイミングが異なるため、訓練期間中に役員構成や委託先の状況が変わっていないかを都度確認する運用をあらかじめ決めておくと、差し戻しのリスクを減らせます。
AI研修を助成金の対象にする場合は、書類の整合性だけでなく、研修内容そのものが自社の実務に合っているかどうかもあわせて検討する必要があります。まずは自社にどの型のAI研修が合っているのかを整理したうえで、助成金の対象要件と照らし合わせていく順番がスムーズです。
