人材開発支援助成金の対象者一覧(様式第4-2号)とは

人材開発支援助成金は、従業員の職業訓練にかかる経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度で、目的や訓練内容に応じて複数のコースに分かれています。人への投資促進コースはそのなかでもDXや高度なデジタルスキル、生成AIの活用などを含む訓練を対象にしやすいコースで、企業が独自に企画した研修を「定額制訓練」として申請するケースが増えています。

定額制訓練は、実費精算ではなく訓練時間数に応じてあらかじめ定められた単価で助成額を計算する方式です。そのため「誰が」「いつ」「何時間」訓練を受けたかを客観的に証明する書類が必須になり、その役割を担うのが様式第4-2号(対象者一覧)です。

人への投資促進コースにおける位置づけ

人への投資促進コースには複数の訓練メニューがあり、定額制訓練はそのひとつです。生成AIやDXに関する社内研修を人への投資促進コースで申請する企業では、対象者一覧の作成が支給申請の実務上のボトルネックになりやすい書類のひとつです。生成AI研修そのものが対象コースの要件を満たすかどうかは、人材開発支援助成金×生成AI研修――対象コースと必要書類で確認しておくと、対象者一覧を作る前の手戻りを減らせます。

定額制訓練で提出が必須になる理由

定額制訓練では、訓練会社への支払い実費ではなく訓練時間数に基づいて助成額が算定されるため、審査側は「実際に誰が何時間受講したか」を対象者一覧で確認します。計画届で申請した対象労働者の人数・属性と、対象者一覧に記載された受講者が一致していなければ、支給申請の段階で確認が入りやすくなります。計画届の記載内容は人材開発支援助成金の計画届の書き方――期限・書類・注意点で扱っていますので、対象者一覧を作成する前に整合を確認しておくと安心です。

どのAI研修が自社に合うか迷ったら、先に型を確認しておきましょう →

様式第4-2号に記載する主な項目

対象者一覧には、受講者を特定するための基本情報と、実際の受講実績を示す情報の両方を記載します。項目の粒度は訓練の形式(集合研修かeラーニングか)によって多少異なりますが、押さえるべき論点は共通しています。

記載区分主な項目何を証明するための項目か
受講者の特定情報氏名・生年月日・所属部署・雇用形態対象労働者としての要件を満たしているか
受講実績情報受講日・受講時間・合計時間定額の算定根拠となる時間数の実態
コース情報訓練コース名・実施期間計画届・カリキュラムとの整合

※様式の細目や最新の記載要領は変更されることがあるため、実際の記入にあたっては最新の公表資料をご確認ください。

受講者の基本情報

氏名や生年月日は、雇用保険の被保険者情報や賃金台帳など他の添付書類と一致している必要があります。所属部署や雇用形態を記載するのは、対象労働者としての要件(雇用形態や勤続要件など)を満たしているかを審査側が確認するためです。名簿を人事システムから機械的に出力する場合、旧姓や通称名の扱いで表記がずれやすいため注意が必要です。

受講日・受講時間

各回の受講日と受講時間を記載し、合計時間を算出します。この合計時間が、計画届やカリキュラムで定めた訓練時間数と一致しているかどうかが、後工程の経費内訳(様式第7-4号)の算定にも影響します。

訓練コース名・時間数との整合性

対象者一覧に記載する訓練コース名や実施期間は、計画届に記載した内容と表記を揃えておくことが望ましいです。表記が微妙に異なると、同一の訓練を指しているかどうかの確認に時間がかかることがあります。

対象者一覧と受講ログの紐付け方

対象者一覧に記載した受講時間は、裏付けとなる受講ログや出席記録と紐付けられる状態にしておく必要があります。訓練の実施形式によって、突合すべきログの種類が変わります。

eラーニング・オンライン研修のログ突合

LMS(学習管理システム)やオンライン研修ツールのログイン時刻、視聴時間、修了テストの結果などが受講実績の裏付けになります。対象者一覧の受講時間欄とログ上の視聴時間が大きくずれていると、確認や追加提出を求められる可能性があるため、集計の元データを保管しておくことが実務上のポイントです。

集合研修・対面研修の出席簿照合

集合研修やワークショップ形式の場合は、出席簿やタイムカード、研修当日の受付記録などが受講実績の裏付けになります。対象者一覧の受講日・受講時間と出席簿の記載を、講義単位で突き合わせておくと、後から差し戻しがあった際にも根拠をすぐに提示できます。

よくある記載ミスと差し戻し対策

対象者一覧は項目数が多くないぶん、細かな表記のずれが目立ちやすい書類です。実務でよく見られるミスを整理します。

氏名・生年月日の表記ゆれ

旧字体や外字、ローマ字表記の有無など、他の添付書類(賃金台帳や雇用保険関係の書類)との表記の違いは、確認の手間を増やす原因になります。人事システムからの出力とマニュアル入力を併用している場合は、突合の工程を一度挟むことをおすすめします。

受講時間の合計不一致

各回の受講時間を合計した数値と、対象者一覧に記載する合計欄の数値が一致しているかを確認します。端数処理のルール(分単位か時間単位か)を事前に決めておかないと、担当者ごとに集計方法がばらつくことがあります。

経費内訳(様式第7-4号)との人数不一致

対象者一覧の受講者数と、経費内訳の算定根拠となる人数が異なっていると、確認事項として指摘されやすくなります。経費内訳の書き方は人材開発支援助成金 定額制訓練の経費内訳と様式7-4号で詳しく扱っていますので、対象者一覧と合わせて確認しておくと手戻りを防げます。

様式第4-2号と混同しやすい他の様式との違い

定額制訓練に関わる様式は複数あり、それぞれ役割が異なります。対象者一覧(様式第4-2号)を書く前に、他の様式との違いを整理しておくと、記載内容の重複や漏れを防げます。

様式主な役割記載の中心
様式第4-2号(対象者一覧)誰が訓練を受けたかの証明受講者の特定情報・受講実績
様式第7-4号(経費内訳)助成額算定の根拠を示す訓練時間数に基づく経費の内訳
実施結果報告書訓練終了後の実施状況の報告実施内容・受講状況のまとめ

経費内訳(様式第7-4号)との役割の違い

経費内訳は、対象者一覧で証明した受講時間数をもとに助成額を算定するための様式です。対象者一覧が「誰が受けたか」を示すのに対し、経費内訳は「その受講実績にいくらの助成が発生するか」を示す書類という違いがあります。

実施結果報告書との役割の違い

実施結果報告書は、訓練終了後にまとめて提出する報告書で、対象者一覧の情報を含みつつ、訓練全体の実施状況を報告する位置づけです。記入例の詳細は人材開発支援助成金の実施結果報告書――記入例と添付漏れ対策で確認できます。

計画届・支給要件確認申立書との関係

計画届は訓練を始める前に対象労働者の人数や訓練内容を申請する書類で、対象者一覧はその計画届の内容を実績として裏付ける役割を持ちます。役員が対象労働者に含まれる場合は、支給要件確認申立書との整合も必要になるため、支給要件確認申立書の書き方【2026年版】役員等一覧との整合も合わせて確認しておくと安心です。

AI研修の型ごとの相場を見比べてから申請準備を整える →

対象者一覧の作成を「誰が担うか」を選ぶ

対象者一覧の作成は、社内の人事・総務担当者が行う場合と、研修会社や社会保険労務士などの外部が代行支援する場合があります。どちらを選ぶかによって、社内の作業工数と確認の精度が変わります。

社内の人事・総務が作成するケース

人事システムや勤怠データから直接情報を出力できるため、情報の正確性は担保しやすい一方、様式の記載ルールに不慣れだと確認・修正のやり取りに時間がかかることがあります。定期的に助成金を申請する企業では、社内にテンプレートとチェック体制を用意しておくと効率が上がります。

研修会社・コンサルが代行支援するケース

研修とセットで対象者一覧の作成を支援してくれる研修会社や、社会保険労務士に代行を依頼する方法もあります。様式の記載に慣れているぶん差し戻しのリスクは下げやすい一方、受講者の基本情報(氏名・生年月日・雇用形態など)は結局社内から提供する必要があるため、情報のやり取りに一定の工数がかかる点は変わりません。

内製と代行、判断の分かれ目

社内で作成
  • 人事データを直接扱えて正確性を担保しやすい
  • 様式のルールに不慣れだと確認往復が増える
  • 継続申請するなら社内にノウハウが残る
外部に代行
  • 様式の記載に慣れており差し戻しを減らしやすい
  • 受講者情報の受け渡しに工数がかかる
  • 費用が発生するぶん申請件数が少ないと割高になりやすい

申請の頻度が高く、社内に助成金担当者を置ける規模であれば内製、単発の申請や様式に不慣れな場合は代行を検討するのが実務上の目安です。

AI研修を対象にする場合の対象者一覧の注意点

人への投資促進コースで生成AI研修などを申請する場合、対象者一覧の作成には研修そのものの設計も関わってきます。受講者の構成や研修内容によって、対象労働者としての妥当性を説明しやすいかどうかが変わるためです。

受講者の役職・部門構成の確認

対象者一覧に記載する受講者が、特定の役職や部門に極端に偏っていないかを確認しておくと、対象労働者としての妥当性を説明しやすくなります。全社的なリテラシー研修であれば幅広い部門から、実務実装ワークショップであれば関連部門を中心に、という形で研修の型と対象者の構成を揃えておくと、対象者一覧の作成自体もスムーズになります。

研修内容と業務関連性の説明

研修内容が受講者の業務とどう関連するかを説明できる状態にしておくことも重要です。AI研修には、リテラシー底上げを目的にした形式から、実務への実装まで踏み込む形式まで幅があり、どの型を選ぶかによって対象者の範囲や受講時間の設計が変わります。

要点2026年時点の参考値(相場)
AI研修型(リテラシー底上げ)まず“使える人”を増やす体系的な研修リテラシー研修 15〜40万円/回、実務実装ワークショップ 30〜60万円/部門
ハイブリッド型(研修+定着支援)研修で入れて定着まで伴走内製化・定着伴走 月20〜50万円
AI導入コンサル型戦略〜実装までの伴走月30〜150万円(継続6〜12ヶ月が目安)

※上記は2026年時点の複数の公開ソースに基づく参考値です。実際の見積もりは各社にご確認ください。受講者の稼働工数(時間×人数)も総コストに含めて検討することをおすすめします。

どの型を選ぶべきか自社だけで判断しづらい場合は、無料で使えるAI判定サービスFitsel AIで、自社の状況に近い型を整理してから研修会社を絞り込む方法もあります。研修の型が固まれば、対象者一覧に載せる受講者の範囲や受講時間の設計もぶれにくくなります。研修費用の相場をさらに細かく知りたい場合は、AI研修の費用相場【2026年版】形式×人数の早見表も参考になります。

対象者一覧の作成を効率化する実務のポイント

対象者一覧は、訓練のたびに一から作成すると工数がかさみます。以下のような仕組みを整えておくと、継続的な申請の負担を減らせます。

受講管理システム・LMSとの連携

受講管理システムやLMSから、氏名・受講日・受講時間をそのまま出力できる形に社内テンプレートを合わせておくと、転記のミスや工数を減らせます。研修会社によっては、受講ログをそのまま対象者一覧の形式に近い形で出力できる仕組みを持っている場合もあるため、契約前に確認しておくと安心です。

  1. 1受講者リストを人事データから抽出する
  2. 2受講ログ・出席記録と受講時間を突合する
  3. 3様式第4-2号のフォーマットに転記する
  4. 4経費内訳・実施結果報告書と人数を照合する

テンプレート化で工数を減らす

一度、自社の人事データ・LMSデータから対象者一覧の形式に変換するテンプレートを作っておくと、次回以降の申請では突合作業だけで済むようになります。特に複数コースを並行して申請する企業では、テンプレートの有無が申請準備の工数を大きく左右します。

提出前チェックリスト

対象者一覧を提出する前に、最低限確認しておきたい項目を整理します。

対象者一覧の提出前チェック
  • 氏名・生年月日が他の添付書類と一致しているか
  • 受講日・受講時間の合計が計画届の時間数と整合しているか
  • 経費内訳(様式第7-4号)の対象者数と一致しているか
  • 受講ログ・出席簿など裏付け資料を保管しているか
  • 訓練コース名・実施期間の表記が計画届と揃っているか

これらを提出前に確認しておくだけでも、確認事項のやり取りにかかる時間を減らせます。

まとめ:対象者一覧は「型」を決めて運用する

対象者一覧(様式第4-2号)は、定額制訓練において「誰が訓練を受けたか」を証明するための書類で、経費内訳や実施結果報告書とは役割が異なります。受講者の基本情報と受講実績を、受講ログや出席記録と矛盾なく紐付けておくことが、差し戻しを防ぐ最も基本的な対策です。

申請のたびに一から作成するのではなく、社内での作成体制やテンプレートを一度整えておくと、継続的な申請の負担を大きく減らせます。AI研修を対象にする場合は、研修の型(リテラシー研修か、ハイブリッド型か、コンサル型か)によって受講者の構成や受講時間の設計が変わるため、研修の型を先に固めてから対象者一覧の設計に入ることをおすすめします。